BeAST
「男に告白されたことは?」
「最近、二人に」
「二人も?出会い、なくない?」
「一人は、男の私に。」
「まじか。俺の見る目は間違ってねえわ。男からしても綺麗だもん、灯織は」
「へえ」
俺のから返事に苦笑いする丞さん。
「もう1人は?もしかして、環?」
「うん」
傍から見ても、環は俺の事をそう見ていると分かるのか。
「振ったの?」
「うん」
「…そっか。環がダメならキツいな」
「何が…?」
食事をし終えたテーブルに腕を置き、頬杖を着く丞さん。
「だって、君のことを1番大切にして1番愛してる男で、君が最も愛してる男だろ、環は」
「そうだね」
「でも、灯織にとって恋人になる人間じゃないんだな」
「うん。環は、私に家族がいるとしたら、兄で、父で、母で。キスしたいとかセックスしたいとか、そういう感情は湧かない」
口元を拭く。
「そう。」
残念そうに俯く丞さん。
「だから、丞さんが誰にも拾われなかったら、私が散歩ぐらいはしてあげる」
「今度はペット扱い?」
ああ、いつもの三倍は話してる気がする。
グラスに入った水を飲み、お手洗いに立つ。
化粧を直して、一息つく。
ここからが仕事。
丞さんにも協力してもらってんだから、ちゃんと成果を得て帰りたい。