BeAST
「はは、結構あるね」
胸のことを言ってるんだろうな。
このセクハラ親父は。
「知り合いの子に感謝しなきゃ」
確かにあの声は、皇だった。
なんでこうも同じ場所にいるんだよ。
つか、あの紳士な人が父親なのか。
だとしたら、優等生してなきゃダメだわな。
エレベーターに乗って、すぐに丞さんから離れる。
「あー生きた心地しなかったー」
「俺は天国だったー」
「そのまま召されればよかったのにな」
「Dかな」
はあ。
「丞さん、だいぶ慣れてきた?」
「いや、慣れない。体型丸わかりな服装だから、刺激されっぱなしかな」
「顔に出ないの凄いね」
「大人だからね」
エレベーターが開く頃には、また片腕だけ絡める。
「その服、いつ買ったの。」
「昨日。」
「じゃあ、今日のためにってこと」
「うん。変?」
「凄い良い。クラブの中に入ったら、俺から離れないでね。ナンパされ放題だよ絶対」
「そう。丞さん、一つだけ伝えておくことがある」
「ん?」
少しだけ背伸びをして、耳打ちをする。
その一言に、ピク、と反応する丞さん。
俺の顔を見る丞さんの顔は、真顔。
「……よく、耀介にオーケーされたね」
「耀介には深くは説明してない。でも、言わなくても耀介は分かる。私の考えてること、殆どをね」