BeAST
「わぁ!丞だぁ〜」
少しは予想していた。
「久しぶりじゃん。またかっこよくなってる」
丞さんはモテる。
そして、あの男の人の久しぶりって言葉を聞いて、こういうふうになるかもって。
「久しぶり、お互いに老けた?」
「ねえ、ひどぉーい」
名前を呼ばないあたり、丞さんは彼女達の名前を覚えていない。
俺は彼女たちを見ないように、周りの様子を伺う。
「その子、新しいセフレちゃん?」
あ、話し回ってきた。
「初めまして。丞さんとはそういうのじゃなくて、大人の遊びの経験をしたくて、連れてきてもらったんです」
ニコッと笑って、少し恥ずかしそうに見せれば、へえ、と驚いた顔をされる。
「寝てないの?丞と」
「人としては好きなんですけど、男としては嫌いです」
へへっ、と笑えば、彼女たちは腹の底から笑い出した。
「そっかそっか!でも分かる気がする〜」
「丞、この子めっちゃ面白いじゃん!天然装ってるあざとい子かと思ったけど、何この子」
この場で女を敵に回すのは良くない。
「……ミキ」
面白くなさそうな顔をする丞さん。
はは、こういう状況、あんまり出くわしたことないか。
「人としては好きって言ってるでしょ?機嫌直して?」