BeAST




「わぁ!丞だぁ〜」


少しは予想していた。


「久しぶりじゃん。またかっこよくなってる」


丞さんはモテる。

そして、あの男の人の久しぶりって言葉を聞いて、こういうふうになるかもって。



「久しぶり、お互いに老けた?」


「ねえ、ひどぉーい」


名前を呼ばないあたり、丞さんは彼女達の名前を覚えていない。


俺は彼女たちを見ないように、周りの様子を伺う。



「その子、新しいセフレちゃん?」


あ、話し回ってきた。


「初めまして。丞さんとはそういうのじゃなくて、大人の遊びの経験をしたくて、連れてきてもらったんです」


ニコッと笑って、少し恥ずかしそうに見せれば、へえ、と驚いた顔をされる。



「寝てないの?丞と」


「人としては好きなんですけど、男としては嫌いです」


へへっ、と笑えば、彼女たちは腹の底から笑い出した。


「そっかそっか!でも分かる気がする〜」


「丞、この子めっちゃ面白いじゃん!天然装ってるあざとい子かと思ったけど、何この子」


この場で女を敵に回すのは良くない。


「……ミキ」


面白くなさそうな顔をする丞さん。

はは、こういう状況、あんまり出くわしたことないか。


「人としては好きって言ってるでしょ?機嫌直して?」



< 118 / 337 >

この作品をシェア

pagetop