BeAST




「こっちは、俺の連れのミキ」



『クラブsignに連れてって。そんで、柿谷柊吾が居たら紹介して。俺が気に入られたら、置いて帰って構わない』



丞さんに伝えたこと。


グッ、と俺の腰を抱く丞さんの手に力が入る。


心配してくれてる。

俺はその手に自分の手を重ねて、撫でる。


「初めまして、ミキです」


でも、ちょっと心配しすぎだな丞さん。

俺の事見すぎ。

視線痛い。



「初めまして、柊吾です。」


独特の雰囲気。

やっぱり、弟の方が可愛いもんだな。



拗れてるとか、そんなレベルの話じゃねえなこの人。


静かに俺を観察してる目。


「丞さんの後輩さんなんですね」


「2つ下だよ」


「えっと、丞さんが26だから」


「24。君は?」


「21です」


「そっか。若いね」



3つ下に、若いね、なんて言わない。

普通。

見えねえって言いたいんだな。



「やっぱり、そう思われます?」


「うん」


「お恥ずかしながら、童顔がコンプレックスで……大人っぽくなりたくて、色々丞さんにお願いしてて」


ね、と丞さんを見上げれば、はっと意識を取り戻す丞さん。


「もう、話聞いてなかったでしょ」



< 122 / 337 >

この作品をシェア

pagetop