BeAST
「流石に聞いてたよ。ただ、柊吾と初めからそんなふうに話せる子ってなかなか居ないから驚いてただけ」
そら、こんな見方されてたら話しにくいわな。
あと、息苦しい雰囲気。
お前は俺の支配下にある、って言われ続けてるみたいな感じ。
本当に、弟の完成バージョンって感じだ。
「丞さんより分かりやすくていいんじゃないかな」
へらぁと笑って見せるけど、ピクリとも動かない澄まし顔の柊吾。
強。
年下にこんなこと言われて、表情崩さないとか流石大人。
「そんなこと言うの、きっとミキぐらいだよ」
「え?別に丞さんのこと褒めたつもりはないからね?」
「え?俺の事ミステリアスで良い男だなってことじゃないの」
「思考回路えぐ。怖。」
えーじゃあどういうこと。
と、いい歳の男がぶりっ子する。
この人、先輩としての尊厳みたいなのないのか。
「二人とも、人に好かれるのを拒むタイプだけど、丞さんはずるいタイプ。柊吾さんは完全シャットダウンタイプだから分かりやすいってこと。まあそれでいて、二人とも一人ではいられない寂しがり屋」
丞さん、おかわり欲しい。
とお願いして、ドリンクを頼みに行ってもらう。
「君、俺になんの用」
虚を突かれる。
凄いな。
どこでそれに気付いたんだろ。
「丞さん、君のこと凄い心配してる」
ああ、そういうことか。
「ホント、目は口ほどに物を言うってやつですよね。丞さん、私の事見すぎ」
ふふ、と笑う。