BeAST
俺が呼んだのは皇。
「ん、俺が呼んだ。言ったろ?皇にお前のこと頼んであるって。」
「だからなんで、こいつに」
「ハルは、皇を悪者にした。つまり、皇は悪者じゃない。慎矢の親友に変わりねえんだよ」
「……わけ、わかんねえ」
「ハ、ル?」
2人とも戸惑った顔で俺を見る。
「皇、慎矢のこと、ちゃんと家まで送り届けてやって。慎矢、話聞いてくれてさんきゅ。んじゃ」
フードをずっと被っていたから、髪が長いのはバレてないだろうけど。
『柿谷柊吾 : 今、シンとゼンと一緒にいたでしょ』
あの二人が目立つから、こいつにはバレる。
『ミキ : 居た。妬けちゃう?』
架空の名義で耀介に買ってもらったスマホで返信する。
『柿谷柊吾 : 明日ゆっくり話そう』
ハル。
お前みたいな馬鹿にこいつを助けるのは無理だ。
よく考えて人を選べ。
考えても、体が先に動く、そんなお人好しだから壊れるんだ。
俺みたいなやつがお似合いだよ。
そういう仕事は。
スマホが震えて、耀介の名前が表示される。
『どう、終わった?』
「うん。終わった。明日も予約した」
『そう。丞はどんな感じ』
「にこりとも笑わなかったよ。なんか……あー俺って、元々こういうやつだったなぁって、思い出した」
『こういうって?』