BeAST
…知ってるんだ。
俺の事、知ってる。
何故か分からないけどそう思った。
怖い
なんで。
「耀介くんによろしくね」
柊吾に聞こえないように口元を隠してそう話し、去っていった。
衝撃がデカすぎて、どうすればいいか分からない。
「鳳財閥の次女、鳳菜摘(おおとりなつみ)。その夫の鳳正人(おおとりまさと)。凄い人達だね。…そんな人たちの知り合いにそっくりなんだ、君」
「え、財閥!?」
俺の声がエントランスに響く。
思わず口元を抑える。
「普通に話しちゃいました、どうしよう。あ、でも、柊吾さんとか慎矢とか皇とかとも話してるし、案外お金持ちの人って普通だったり」
「俺らとは別格だよ。俺らはただ親が企業の会長だったり、取締役だったりなだけ。権力が違いすぎる」
…鳳、か。
孤児院の名前に着いてたわ、そういや。
耀介繋がりだ。
逆になんで今まで俺、耀介の家の事とか調べなかったんだ?
いや、全然興味なかったわ。
でも俺、あいつの家族なんて、兄貴ぐらいしか会ったことないしな。
「本当に知らないの?」
「え?あ、はい。なんか圧倒されますね…私にはよく分かんない」