BeAST
「いや、無理しなくても」
「緊張してたんですよ。柊吾さん、私の事警戒してるし、街中でもさっきのエントランスでも周りを見る限り、柊吾さんが凄い人なんだなって分かるし。私の立ち振る舞いがおかしかったら、なんであんな女連れてるんだ〜って思われちゃうかと思って緊張してたんです。」
これはがち。
いつも男としての振る舞い、というか、素がそっちだから、疲れるんだ。
「誰も見てないここなら、別に気遣う必要ないかなって。あ、嫌なら、取っ付きにくい女演じてましょうか」
スッと柊吾さんから離れて座る。
「私、なんでも食べれるんで適当に頼んでくださーい」
スマホを見て足を組めば、クス、と笑われる。
「どこまでが演技か、分かんないの初めてだよ」
面白いと思うとこ、そこなのか。
「柊吾さんにそんなこと言われるなんてな。光栄です。さっきの嘘で、私これとこれと」
またピッタリとくっついてメニューから選ぶ。
「なあ」
注文し終えてから、頬杖を着いて俺を見る柊吾さん。
慎矢より、中性的な顔立ちの柊吾さん。
「はい?」
「どうしたら、素で話してくれるんだ?醜い俺ってどの俺?」
多すぎてどれを指してるか分からないって?