BeAST
上がる息と、甘い声。
濡れた音と、シーツの摺れる音。
短く息をする柊吾の顔には、汗が滲んでいて、それを撫でれば、スリッと俺の手に顔を擦り寄せる。
一体化する感覚。
全部ドロドロに、液体化して最初から一つだったように。
それから、どれくらいの時間そうしていたか分からない。
終わったあとも、少しの間柊吾は俺を離さなかった。
だから、俺も離さなかった。
いつの間にか眠っていて、目が覚めた時、柊吾の胸板とネックレスが目に入ってきた。
柊吾も寝てるのか。
額をその胸に擦り寄せる。
「甘えてんの?」
バッと勢いよく体を後ろに仰け反らせる。
状況を把握する。
あ、えっと、添い寝してて、柊吾は起きててタバコ吸ってて。
それに気付かないで、俺は……
「忘れろ」
布団をずりずりと引き寄せて体に巻きつける。
「何を」
「今の」
「分かんない。どれ」
「もういい」
ははっ、と楽しそうに笑う柊吾。
本当、よく笑うな昨日から。
そのことを指摘したら、きっとやめてしまうんだろうから、別に言わなくていいか。
「めっっっちゃ、腹減った」
「ん、そろそろ来るはず」
「マジ!?頼んでくれたのか」
「適当にだけど」