BeAST
グッと拳を握る2人。
僕は許す気は無い。
「ひおのことだから、殴られても蹴られても首を絞められても、キスされても、救おうとした。それが愛だと思ったんだろうね。僕がそうだったように、受け止めようと思ったんだ。僕の教え方が悪かったから、許さないけど、咎められることでもない」
「なんで、耀兄は、そんなこと」
ハルが僕を見て、聞く。
「あの時、ひおは、爆発しそうだったんだよ。ハルは自殺未遂するし、僕は死にそうだし。」
はあ、とため息をつく。
「……これ、ひおには話すなって言われてるんだけどな」
でも、僕も、ひおを一番愛してる。
だから、許してね。
「ひおを好いてる人間が、ひおの周りから消えていく感覚。ひおの幼い頃の話は、耀介しか知らないし、教えてもらえないけど、ひおは親に必要とされなかった子なんだ。自分がいらない存在だって、そう暗に言われている気がしてたんじゃないかな」
明らかに、恋人だった方の子の顔色が悪くなっていく。
「耀介はそれを分かってて、ハルのこと、ひおに解決させることで、要らない存在なんかじゃないって言いたかったんだと思う。ひおはひおで、その与えられた仕事の中で君たちに出会って色々考えたんだと思う。……君は、何か知ってるのかな?」