BeAST
弓木灯織side
泣きじゃくった顔をしたハルが俺の方へ走って抱きつく。
「ひお、生きてるぅぅ」
「うざ、何こいつ」
「ねえ!何もされなかった!?大丈夫!?」
本当に、こいつ嫌いだ。
「おい、慎矢。どうにかしてくれ」
そう慎矢に言えば、ハルの手を掴んで俺から剥がす。
慎矢に触られたことで、大人しくなるハル。
「慎矢、悪いけど、俺本当にこいつ嫌いなの。だから、他で話してくれるか。全部話し終えたら、戻ってきて。チーズケーキ、お前らの分も買ってきたから」
「分かった」
慎矢はやけに大人しく俺の言葉を聞く。
慎矢はハルの手を掴んだまま、病室を出ていく。
……何故か、病室に残る、皇。
「……行かねえのかよ」
「俺が行ったって邪魔なだけだろ」
……そうかい。
「チーズケーキ、食う?」
「食べる」
なんか、こいつとどうやって話してたか、もう忘れたな。
つか、そんな話したことねえのか。
濃密すぎて話してる気でいたわ。
「環、来ちゃった」
にへっ、と笑えば
「何可愛こぶってんの?」
って、言いながら、俺の事可愛いなって顔言ってるよ、環。
「機嫌良いね。そんなに、あの子のお兄さん、仲良くなったんだ」