BeAST
「ちょっとワケあって、21って言ってたから、年齢言ったら焦ってた。柊吾って冷静沈着って感じなのにすげえ焦ってた」
思い出すと笑いが込み上げる。
「…環が嫌なら、俺もうここ来ない。それを言いに来た。柊吾に、環のこと話してたから、ちゃんとあったことを話してきなさいって言われちゃってさ」
「それで、ここに来たの?」
「あいつ、変なとこ常識人っつーか。俺もそうすべきだと思ったからここに来た。」
普通じゃない、だろ。
「じゃあ、もうここには来ないで」
ガツンと、頭を殴られた気分だった。
「僕なら、来ていいよって、来て欲しいって言うと思って聞いたんだろ」
ダメだなぁ。
口角が気持ちに反して上がっていく。
「悲しい、な」
環の顔が、真顔になる。
「これでもう、環を傷付けなくて、良くなる。善人ぶった悪人はもうやめるよ」
笑ってチーズケーキを食べる。
「これ、結構美味い。ハルの分食っちまおうかな」
環は黙って、目の前のチーズケーキを眺めてる。
「環は生きて、幸せになって。俺が、環を愛した時間を、否定しないで。俺は、環が居たから今こうやって善人ヅラしてケーキ食べれてる。何人を怪我させて来たか、どれだけの物を壊してきたか。」