BeAST





「嫌なら買ってこい」


「俺の弟にぐらい、優しくしなさいよ」


「別に慎矢はお前の弟として見てねえもん。ガッコーのお友達」


「もっと思ってないだろ、そんなこと」


「ははは」



ストン、とソファに座ってスマホを眺める。


「仲、良いんだな」


慎矢の言葉に、スマホをソファに投げ落とす。


「仲良くないから、安心しろ。お前から兄貴取んねえから」



ニッと笑えば、


「そうじゃない」


怒った顔で俺を見る。


「お前、苦しそうじゃないから」


悔しそうな顔。


「うん、苦しくねえよ。全然苦しくない。柊吾は俺を大切にしない、守らない、愛さない。すげえ楽。」


「飯、作ってもらって、面倒見てもらってんのにか」


「うん。それが嫌なら出てくし。」


「…もし、兄貴がお前のこと好きだったら、どうすんだ」


「柊吾は俺の事好きじゃないから、そんなこと考えない。」


柊吾が傷付くことを恐れてる。


柊吾はまだ愛されてる。


「柊吾と話に来たんでしょ?」


「飯食ってから話すことにした」


柊吾がキッチンから言う。


「あー、そうなんね。」


俺はソファから立ち上がり、洗面所に行く。


髪を乾かして、タオルを洗濯機に入れる。



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