BeAST
おかしい。
おかしい、か。
「なあ、お前にはさ、俺がどんな常識人に見えてるわけ?それとも、兄貴のこと好きでもねえ女が一緒にいるのが嫌?俺にはさ、俺に構うお前らの方がおかしく見えんだよ」
普通が、良かったよ。
俺だって。
愛されたいと思ったんだ。
俺の力でみんなを笑顔にしたいって思ったんだ。
でも、どんなに足掻いたって、俺は俺でしか無かった。
「俺がおかしいと思うなら、放っておいてくれよ……自分に価値があると思っちまうんだよ。欲しいって思っちまうんだよ。でも、手にしたら手にしたで、罪悪感で死にそうになる。本当の俺は、人を傷付けることで、安心するクズなんだよ」
「お前がそう見えねえから言ってんだろ」
苦しい。
苦しい。
壊してしまおうか。
「じゃあ、その目、節穴だな?」
ご馳走様、と手を合わせて席を立つ。
「灯織、俺のも」
「うい」
優しさが怖いなんて、分からないだろ。
「俺寝室いるわ」
「分かった」
柊吾は、干渉しない。
俺がどれだけ苦しがっても、声一つかけない。
それが心地いい。
寝室に入って、ベッドにダイブする。
これから、どうしようか。