BeAST
俺の言葉に、犀川や与坂、女子たちが泣き出す。
「それが今じゃ、俺らがあいつの人間性に惚れてて、一緒に時間を過ごしたいと思うやつらが沢山いて。あいつも、楽しんでるもんだと思ってた。それが、本当は目的があってここに居て。それが達成されたらもう来なくなる。……俺らは、その程度だったってことかもしれないな。」
自分の言葉が、自分の心に突き刺さる。
「灯織は神尾さんに変えてもらったって言ってた。でも、それは、灯織が変えようと必死で努力してただけで、本質は変えられなかったってことなのかもしれない。そう考えれば、理解出来る。そんな、サイコパスみたいなやつが、あいつの理解者なら、あいつもそうなんだろ」
「違う!!!」
犀川が叫ぶ。
「灯織は…っ、灯織はそんな人じゃ」
「そんな人じゃない。俺だってそう思う。けど、俺らは、荒れてた頃のあいつを知らないだろ。なんの根拠もないんだ。灯織は、時折、学校で倒れてた。」
俺がそう話せば、俯いた奴らが顔を上げる。
柿谷や皇でさえ、俺を見る。
「与坂に、自分に優しく無さすぎるって言われた時、急に具合悪くなったろ。…あれ、あの時が初めてじゃない。」
「…どうして」