BeAST
この人の言葉は、やっぱり偉そうだ。
偉いから、偉そうなんだ。
「……費用の件、引き続き、宜しくお願いします」
俺が言えるのはこれだけだ。
「ああ。心配するな。」
考えるふり、か。
この人は俺より考えている。
俺はまだ、金のことも世間のことも知らないことばかりだ。
俺には関係の無いことだと思っていたから。
「次に、お前の過去についてだ」
痛みに、安心していた。
進まなくていいと思っていたから。
「記憶は戻らないんだろ」
「…ああ」
「ではまず、お前が何者なのか、からだ」
天馬がコーヒーを口にし、俺を見る。
「お前は、俺の妹だ」
音が、全て無くなる感覚。
「は?」
自分の声と息が震える音だけが聞こえた。
頭が真っ白になる。
「お前は、俺と耀介の妹だ。つまりお前の本名は、鳳灯織(おおとりひおり)。」
天馬の顔から、少しずつ殺伐さが消えていく。
「俺が15のとき、耀介が10のとき、お前が生まれた。血が繋がっている。が、お前と俺たちは異母兄弟。お前だけ母親が違う」
なんでお前なんだ
お前は、誰にも愛されない
許さない