BeAST




「別に女が嫌いとかではなかったんだけど、ほら、お堅い家系とかだとさ、ほぼ将来決まってんのよ」


お堅い、家系?


「あ、俺一応華道家の真壁麟太朗(まかべりんたろう)の長男なの。代々華道家をやってる家系でさ。だから、俺もお花扱えちゃったりすんのよ」


えへへ、と笑いながら、メイクを進める真壁さん。


「どっかの良い育ちのご令嬢とかと見合いさせられて、流れに身を任せて結婚すんだろうな〜って思ってた。まあそれならそれで別にいいかって。今思うと良いように教育されちゃってたんだなって分かるよ?でも当時は、そうなるもんだと思ってた。」


ベースメイクが終わる。


「ある日さ、出会ったんだよね。そんなつまんない男に向かって、" アンタ、誰の人生歩んでんの?" って鼻で笑ってくれちゃった女〈ヒト〉がいてさ。俺ビビビッと来ちゃって。やー、あの時は衝撃的だったよね。」



これは、流石に聞かなくても分かる。


真壁さんを変えた女〈ヒト〉の話。


「俺の初恋の人だった。ちなみに丞くん17歳の頃の話ね。だから、灯織より初恋遅かったんだよね〜」


灯織さんの、初恋がいつなのか、知ってるんだ…真壁さん。


「でも、その人保健室の先生で、人妻でさぁ。その頃から俺ってクズ男素質あったのかも〜って思うよね」



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