BeAST
嫌だ。
俺は、俺は、
「嫌いにならないよ。どんな灯織も。全部受け止める。……前に、『丞さんのことを1番に大切にして、幸せにしてくれるような人じゃなきゃ俺が許せない。』って葉賀に話してたでしょ。
俺は灯織のそばにいることが幸せ。これ以上ないってぐらい、灯織といる事が楽しくて、この時間がずっと続けばいいと心から思う。」
丞さんは立ち上がって、俺の顔を隠す腕も掴み、俺の顔を見下ろす。
「ねえ灯織。」
俺といたって、幸せにはなれない。
俺はそんな、愛される人間じゃない。
愛されていい人間じゃない。
「灯織を、俺にちょうだい」
それなのに、なんで、なんでこの人は、
俺を宝物みたいに扱うんだ。
ボロボロと情けなく泣きじゃくる。
ああ、ベースメイク、してもらったばっかりなのに。
「抱きしめても、いいですか」
分かんねえ。
分かんねえよ。
「なーんてね。」
その言葉に顔を上げる。
「嫌って言ってもするけど」
ふわっと俺を抱きしめる丞さん。
「俺、灯織が欲しいよ」
目を瞑れば、チカチカとまぶたの裏が光る。
ドクドクと心臓が早まっていく。
俺だって…、俺だって、丞さんが欲しい。