BeAST
俺は1番愛さなきゃいけない人より、自分を守ることを選んだ。
初めからそうだったんだ、俺は。
「お母さんは俺を愛してなくて、捨てられた。そう頭の中で勝手に変換してさ。
なんでお前なんだ
お前は、誰にも愛されない
許さない
その言葉だけ覚えてて、声すら忘れてた。」
母親の名前は、弓木紅璃(ゆみき あかり)。
正人って人が呼んだ名前。
似ていると、言った名前。
「お母さんは、元々孤児だったらしい。でも、すげえ美人で、高級ホテルの受付をしてて、親父に出会った。親父は既に前妻を病気で無くしててさ、再婚するのも躊躇してたらしいんだけど、俺が出来て結婚した。
丞さんに話した、デキ婚ってのは当たってた。まあ、付き合ってたわけだし、大人だし、それほど問題じゃない。
けど、問題は、親父の家系で。」
拳を握りしめれば、丞さんの大きな手で包み込んでくれる。
「俺の親父、鳳彰人(おおとりあきと)っていうんだってさ。天馬と耀介の親父」
流石に、驚くよなぁ。
「…じゃあ、天馬さんと耀介と灯織は、異母兄弟ってこと」
「そ」
顔を両手で包まれて至近距離で見つめられる。