BeAST
「あ?ドライアイか?何目ぇ抑えてんだ」
守ると決めたのに、こいつには辛い思いをさせすぎた。
これからも、この家にいる以上苦しませるかもしれない。
だからこそ、ここからは俺が。
「気にするな。」
この子のために今まで権力を蓄えた。
父も俺の言葉なら聞き入れるくらいにはな。
「……疲れてんじゃねえのか。」
俺の……心配を……
「疲れていない。お前こそ、足はどうだ。ヒールは慣れていないはずだろう」
「はっ、暴れた時の傷は気にしねえやつが何言ってんだよ」
「会場で転ばれたら困るだろ」
「…んと、腹立つな」
話をそらすために聞いただけだ。
ったく、耀介のことを言えないな俺も。
この子の事になると、要らないことを口走る。
「アンタらに恥はかかせねえから、安心しろよ」
「嘘だ」
「はあ?」
黙って、聞くことは出来なかった。
「お前はまだ子供だ。成人するまでは、家で起きることは気にするな。責任の話は、家の外での話だ。」
俺と耀介は、母親を早くに無くしているから、甘え方も甘やかし方も上手くない。
「……アンタって、そんな回りくどい話し方するやつだったか?」