BeAST




「あ?ドライアイか?何目ぇ抑えてんだ」



守ると決めたのに、こいつには辛い思いをさせすぎた。

これからも、この家にいる以上苦しませるかもしれない。


だからこそ、ここからは俺が。



「気にするな。」



この子のために今まで権力を蓄えた。

父も俺の言葉なら聞き入れるくらいにはな。



「……疲れてんじゃねえのか。」


俺の……心配を……


「疲れていない。お前こそ、足はどうだ。ヒールは慣れていないはずだろう」


「はっ、暴れた時の傷は気にしねえやつが何言ってんだよ」


「会場で転ばれたら困るだろ」


「…んと、腹立つな」



話をそらすために聞いただけだ。


ったく、耀介のことを言えないな俺も。


この子の事になると、要らないことを口走る。


「アンタらに恥はかかせねえから、安心しろよ」


「嘘だ」


「はあ?」



黙って、聞くことは出来なかった。



「お前はまだ子供だ。成人するまでは、家で起きることは気にするな。責任の話は、家の外での話だ。」



俺と耀介は、母親を早くに無くしているから、甘え方も甘やかし方も上手くない。



「……アンタって、そんな回りくどい話し方するやつだったか?」



< 256 / 337 >

この作品をシェア

pagetop