BeAST
「私は、今でもずっと母が好きです。その母を苦しめたのがおふたりじゃないと今分かった。」
2人の目に浮かぶのは、悲観でも同情でもない。
自身への怒りだった。
「ご招待いただき、ありがとうございます。」
頭を下げて、あげた時に2人に笑いかけた。
俺の周りは自責する人間ばかりだ。
起こったことを悔いたって仕方がないと分かっているからこそ、戒めのように気を張って生きる。
俺はここにいることを決めた。
それなら、俺の役目はこれだけだ。
「でも、良かったんです?私の事なんか招待して。耀介から聞いているはずですが」
少し驚いた顔をする父親と、クックックッと面白そうに笑うじいちゃん。
「お前は俺の若い頃にそっくりだな」
そのじいちゃんの言葉にこちらが虚を突かれる。
「え」
「俺も昔は目も当てられないほど暴れた時期があってな」
……もしかして、
「心配するな。その血は俺の血だ。」
俺って、このボスのじいちゃん似…?!
「いらん血を」
思わず呟いてしまって、口を抑える。
それに、じいちゃんが更に笑う。
「そうだな、苦労させたな?」
片眉を上げて俺を見るその人に、少し肩の力が抜ける。
「いいよ。じいちゃんに似てるなら、私この2人より強くなれるってことでしょ?」