BeAST




「どれだけ、この子が暴力に少し慣れていたとしても、傷つかないわけじゃない」


その言葉に、耀介は眉を八の字にする。


「そうだね」


なんか、この感じ。

女の子に庇われる感じ。


「ありがとう、純菜さん。次は耀介も着いてきてもらうようにするよ。だから、怒んないでやって」


俺は変わる気あんのかな。

それでも、見てられないんだよ。

これは、性分だ。


「怒ってないわ」


「え?」


「アドバイスよ、アドバイス」


真剣に俺に言う純菜さん。


「耀介たちは、灯織を大切にしたいと思っているでしょう?だから、アドバイスしているだけ。」


その本人の意向に合わせて言っているだけ。


ああ、そう思えば少しは楽かもしれないな。


「……そっか」



「甘やかせって言っていた割に、あなたほとんど人に甘えたことないでしょう」


驚いて、純菜さんの顔を見つめれば、


「目の動きとか仕草とか見ていればだいたい分かるわ。自分を優先する人間か、他人を優先させる人間かぐらい。灯織は、少しでも気を許した人間相手だと、その人の目線とか仕草とかで考えていることを汲んで先回りして行動しようとするでしょう?」



そんな、分かりやすいか?俺。




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