BeAST
ドレスも着てるし、純菜さんは多分異性愛者。
「それでも、灯織には惹き付ける力があるんだよ。それを自覚して」
惹き付ける、力か。
「天馬みたいな感じか?」
端正な顔や、色気とかじゃない、別の力。
「そうだね。不思議な力がある。だから、性別とか関係ないんだよ」
そうなのか。
……そうなのか?
ネガティブだと周りに言われるけど、周りの人を信じていない訳では無い。
ただ、肯定される事がほとんどない時間が長かったから。
「耀介兄〜」
軽い調子の声が近付いてくる。
視界に入ったのは、紺に白のストライプの入ったスーツを着た明るい茶髪の男。
年齢は同年代と言ったところか。
「大和、久しぶり」
「久しぶり〜。最近、パーティーとか天馬兄オンリーだから、寂しかったわ〜」
ノリが軽い。
「天馬が出れば、特に俺の仕事ないし。それにちょっと忙しかったんだ。妹のことでね。」
「あっ、だよなぁ〜。初めまして、俺、鳳大和っす〜」
鳳大和(おおとりやまと)。
片手を出され、握手をする。
「初めまして、灯織です」
「灯織ちゃんいくつ〜?」
「16です」
「うぇ〜俺18だよ〜ちょうど結婚できんね〜」
握手した手をクンッと引かれ、距離が詰まる。
今の俺で身長同じぐらいか。