BeAST
七種礼side
灯織が学校に来なくなって、4ヶ月が経とうとしていた。
「もう3月になるのかぁ」
灯織がいないという違和感はなかなか消えない。
幸大もずっとこの調子。
静かで、元気がない。
『なあなあ灯織!面白い話あんだよ!』
『その時点でハードル上がったぞ。』
『面白くなかったら、学食奢りな』
『はあ!?リスク高すぎんだろ!』
灯織がいる時は、馬鹿でかい声でいつも騒いでたのにな。
「お前って、本当に灯織大好きなんだな」
「お前もだろ」
俺の言葉に冷静に返してくる幸大。
その冷静さに驚く。
「灯織がいないと俺はつまんない男だよ、そうだよ」
机に項垂れる幸大。
「……そうだな」
「おい、間を置いて肯定すんなよ」
「お前のうるささになんだかんだ反応すんの、灯織ぐらいだったしな」
そう答えれば、うっ、と涙目になる幸大に軽く引く俺。
「そ、そうなんだよ……あいつは、優しいんだよ」
それも無理やりな感じには見えなかったしな。
幸大が1番堪えてるんだろう。
「でも、あいつも戻ってくるかもしれねえしな」
「は!?」
久しぶりの幸大の爆音の声。
「なんか、テストん時だけ時間づらして別室で受けてたらしい」
「うそ、何それ!?」
飛びついてきたのは与坂。
『まだ皆には』
悪いな、灯織。