BeAST
「漸、言っとくが、お前には告白されてねえから振ってねえだけで、俺には大切な人がいる。勘違いさせたくねえから、今後こういうのやめろ。つか、こういうのしなけりゃ、お前が一番まともなはずだろ。」
ため息をつく。
俺へのこのバカデカ感情さえなければ、ただのイケメンの優等生なのだ。
慎矢の件が解決したことで、周りと距離を置く必要もなくなった。
「お前ほど、友達思いな優しいやついねえだろ。なんで俺の事になるとぶっ壊れんだ?」
「可愛いから?」
無表情でとんでもないことを言う。
俺は頭を抱え、慎矢は引いてる。
その他の周りは赤面する。
「考えても分かんない事ってあるんだろ」
いつか、俺が言った言葉。
「仕方ないだろ。俺にはもう自分を抑えなきゃいけない理由がない。」
そら、良かったけどさ。
「抑えなくていい分、お前を前みたいに傷付けることもない。少しは制御できる。それを分かってるから、灯織も警戒してねえんだろ」
成長したのか、なんなのか。
「よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるな。」
そう俺が言えば、ふっと口角が上がる。
「灯織は、真っ直ぐな気持ちに弱いって分かったから」
「よく分析したもんだな。でもお前への警戒心の薄れは慎矢がいるからでもあるからな?」
「へえ。俺より慎矢の方が好き?」