BeAST



冷たい目。


「好きだよ。根が優しいやつだって分かったからな。」


「おい、俺を巻き込むな」


「彼女も居るし、彼女一筋で安心だしな」


ガッと肩を組む。


「おい、聞いてんのか」


肩に回る俺の手を払って俺を睨む。


「漸、お前だって優しいやつだって分かってるよ。けど、お前が俺を好きなら、その感情には答えらんねえってだけだ。じゃ、またな」


漸と話すのはカロリー使うな。


「灯織ってあんなに話すんだ」


与坂が呟く。


「漸はちゃんと説明しねえと引かねえから」


「まあ、灯織にあんなにガツガツアプローチする人も珍しいよね」


「漸か、香水くれた人ぐらいじゃね」


なんか、言いたくなった。

そんで思い出して、ニヤけそうになる。


「うわあ!?今の惚気じゃない?」

犀川がすぐに気がつく。


「声でか」

俺は逃げるように階段を2段越しで降りる。


すると、その先に


「あ、灯織」


耀介が居て、勢いのまま抱き着く。


「うお、重」


「ひど」


「嘘」


体を離して


「今日何時まで」


「んー、普通に定時。灯織は」


「これからこいつら、家に連れてく」


チラッと耀介は幸大たちを見て口角を上げる。


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