BeAST




「最初に学校でぶっ倒れた時、助けてくれたのが礼で、礼はその時から知ってる。だから、ここに来るのは遠慮してもらった。」



「幸大、は?」


「あいつは、俺が男だろうが女だろうがどうでもいいだろ。でも、2人は同性だし、ちゃんと話したかった。特に犀川は、怒っていいことだし、これから俺と居るのキツかったら…」


「驚いた」


犀川は俺を見てハッキリとした口調でそう言った。


「けど、驚いただけだよ。裏切られたとか思ってない。そんなことで怒らない。」


と言いつつ、怒ってるらしい。


「幸大より、あたしの方が信用できないんだね」


ああ、そういうことか。


「ごめん。人を好きになるってすげえ事だって、最近知ったから、怖かった。犀川に嫌われんの、怖かったんだよ俺」


素直に、正直に。

格好はつかねえけど。


「待って。あたしはおまけ?」


与坂がムスッとする。


「与坂は、どっちかっつーと面白がってくれるかなって思ってた。こういうの、好きそうだし」


ドレスを指させば


「…そりゃあ、美容師興味あるし、こんなオーダーメイドのドレスなんてなかなか見れないし」


珍しく口ごもる与坂。


「いつも、こういうドレス俺に着せてくれてさ、メイクして送り出してくれるのが、俺の好きな人。真壁丞さんっていうんだ」



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