BeAST



そんな真剣な顔で言うことか?


「ん」


「でも、あのドレス、どれも胸元が」


瞬きが増える犀川。


「そうじゃん。結構大きいってことだよね、灯織」


俺の胸元をガン見する与坂。


「真剣な顔で何言うかと思えば。言うほどでもねえし、慣れたから苦しいとかも殆どねえよ」


淡々と答えていれば、視界に要らんものが入ってきた。


顔を逸らし、耳まで赤くする男。


「ほら、童貞くんが動揺しちゃってんだろ」


「うるせえ!今俺に話しかけるな!」


面白すぎるだろ。

吹き出して俺が笑っていれば


「つか!お前!カモフラージュだとしても、こ、コンドームをだなぁ!持ち歩くのはどうかと思うぞ」


「あ、あげたやつ、どうした?」


「どうしたもこうしたもねえよ!」


「んだよ、使えよ」


「お前、本当に女か?」


慌てすぎて逆に冷静になったらしい幸大。


静かになったのが少しつまらなくて、ワイシャツのボタンを外す。


「おい、何やって」


「ひ、灯織?」


礼と犀川が動揺する。


下に黒のTシャツを着ているから、それをぺらっと上まで捲る。


礼と幸大はバッと顔を逸らす。

犀川と与坂はガン見。


「こんな感じ」


「チューブトップみたいな感じなんだ」


「ん、ならすみたいな感じ」


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