BeAST
「え、真壁丞って、…た、すくって」
幸大が俺を見る。
与坂は完全に固まった。
こんな与坂を未だかつて見たことがない。
「あれ、俺のこと知ってる?灯織に聞いた?」
「そっちの女の子は丞さんのファンだよ。美容系に興味あるんだと」
「あーそういうこと。こっちの男の子は」
「4人とも俺の好きな人っては伝えてある」
「そっかそっか。真壁丞って言います。美容師してて、耀介とは高校からの付き合いで、今日は耀介に誘われて来たんだ。よろしくね」
ニコッと笑えば4人ともよろしくお願いします、と微かに言って頭を下げる。
「丞さん、コート掛けてくるから脱いで」
「あー、待って待って。衣装部屋見せてよ。俺も着いてく」
耀介と同じ場所に荷物を置いて、ニコニコして俺に近付いてくる。
「別に面白いもんねえぞ」
「まあ大概のドレスとかは見てるだろうけど、天馬さんが作らせるオーダーメイドのドレスってなかなか面白いんだよね」
「それどういう意味だよ」
「んー、灯織を知り尽くしてるなって感じ?俺を牽制してる気がする」
「はは、あの兄貴もかなり俺のこと好きだからな」
「ヒールも俺の身長抜く高さで、天馬さんよりは低いのしか選ばないしさ」
「あー、そうかもな。丞さんに合う靴買ってくれれば良いんじゃね?」