BeAST



「丞さんが俺なんかのこと好きになってくれて、こうやって照れくさいことも言ってくれて。俺はそんな大層な人間じゃねえ。だから申し訳ない。それと同時に、すげえ嬉し」


最後まで言い切る前に抱きしめられる。



「灯織は凄いな」


「何が」


「欲しい言葉全部くれる」


「普段口数少ねえ自覚あるからな」


「ふっ…そういうことじゃない」


俺だって照れくさくて普通ならこんなこと口にしねえよ。


けど、丞さんが先に腹割ってさらけ出してくれてんのに、俺がかっこつけてどうする。



「ありがとう、丞さん」


グリグリと顔を擦り寄せたいが、メイクをしてもらった手前、力いっぱい抱き寄せるのが精一杯のお返しだ。


「こちらこそだよ。良かった、喜んでくれて」


「ん、頑張れそ」


「出来るだけ1人になっちゃダメだよ?変な男に連れてかれちゃうから」


「どーせ、変わらず幸大達とつるむんだろうし、問題ねえだろ」


「…好きだねえ、幸大くん」


「言っとくけど、本当に幸大だけは嫉妬に値しないやつだから。」



丞さん曰く、幸大との仲の良さは他と違く見えるらしい。


まあ、あいつは生まれた時から一緒でしたって言われても違和感ないくらい馬は合う。


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