BeAST
1番前まで来ちまった。
来てしまったもんは仕方ねえけど、
「おいこら、手放せ」
「灯織のクラスは……」
「あからさまに無視すんな。」
グイッと腕に力を入れて引き寄せれば、俺を見下ろす漸。
ムスッとした顔を見せるが、そんなん知ったこっちゃない。
「漸くん、離して?」
ニコッと必殺外面で、少し大きめに声を出せば、ため息をついて手を離す漸。
ここで離さなかったら、そうじゃなくても下がっている漸の株が地に着くだろう。
「俺ら同じクラスだな」
「は、まじか」
慎矢の声に顔を上げる。
自分の名前を見つけたと同時に、馴染みの名前も目につき、微かに自分の口角が上がろうとしているのに気が付き、クルッと掲示に背を向け玄関に歩く。
「お前、これからどうすんの。」
「別にどうともしねえよ。俺んちの人間が個人情報は徹底的に守ってるらしいし、この学校、校則緩いしな。」
歩く俺を挟んで、静かに俺を見下ろして歩く男2人。
「身を守るために男装してましたーとでも言っときゃいいんじゃね?」
「アバウトだな」
「身を守るとか言って、全く守れてなかっただろ」
主にお前ら2人からな。