BeAST



教室に入れば、既に俺の机であろう席に集まっている馴染みの2人。


「はよ、灯織」


少し驚いてから、俺の名前を呼ぶ礼。

幸大は固まって、目だけを動かして俺の全身を確認する。


「うおおおおおお」


やっと口を開けたかと思えば、長めのリアクション。


席を立ち、俺の両肩を掴む幸大。


「ほおおおおおお」


情報処理に手間取っているらしい。

勉強できることだけが取り柄だろお前。

早く処理しろよ。


「お前女でも美形なんだな。こんちくしょうだな」


「褒めるか貶すかどっちかにしろ馬鹿」


「話すと灯織だな。」


「話さなくても俺は俺だろ。」


ああ、安心してる自分がいることが痒い。


「とりあえず、またよろしく」


礼が柔らかく口角を上げる。


「おう」


そのタイミングで



「灯織!?居る!?」


入口で叫ぶ、これまた馴染みの声。

振り返れば、肩で息をする2人。


「幸大じゃねーんだから、叫ぶな」


ははっ、と笑えば周りもザワつく。


俺が俺であるということに困惑しているんだろう。


「え、超可愛い」


「美人すぎる負けた」


「丞さんに全部やってもらった」


素直に笑えば、2人とも顔を赤くして抱きついてくる。


「何、この可愛い生き物」



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