BeAST
「……仕事したくないな」
冗談交じり。
でも、息の混じったか細い声は、何かを隠している。
「そ。じゃあ、しなけりゃいい。サボれサボれ」
「あはは、悪魔の声だ」
「いいだろ1日ぐらい。お前は仕事のために生きてるんじゃねえだろ。生きるために仕事してんだろ。だったら、壊れてちゃ意味がねえ」
愛なのか、依存なのか。
そんなのは知ったこっちゃない。
依存した覚えはない。
愛した覚えもない。
けれど、消えて欲しくない。
それが答えだろ。
俺の肩にグリグリと顔をすり付ける耀介。
「…元気出た。仕事するから離して」
お前がそう言うなら、そうすればいい。
パッと手を離して、寝直す。
「ん〜、そう名残惜しさも無さげだと寂しい」
「うるせえ、甘えてえだけなら、女作ればいいだろ。俺は寝る」
ふう、とため息を着く耀介。
ベッドが微かに軋み、立ち上がるのが分かる。
「無理はすんな」
小声でそう呟けば、ふふ、とまた笑ってカーテンを閉めた。
俺は、かなりまともになった方だと思う。
あいつや、耀介の影響で。
発作のような症状も、今はほとんど出ない。
女とか男とかどうでもいい。
俺が女だとか、どうでもいい。
ただただ、俺は、今ここに俺が生きていることが不思議だ。