BeAST





「いつからかは、分からない。ただ、ひおが理解され始めて嬉しいって思うのと同時に焦った。ひおが誰かのものになって僕の手を離れていくって考えただけで、腸が煮えくり返る。確かに、昔はこんな感情じゃなかった。」



中学までは、孤立してた。

口が悪いから、勘違いさせて人を傷付ける。

でも、周りに人がいないことが、俺には普通のことでなんとも思わなかった。



「僕が、心臓移植を考えないといけない体になってさ、ひおにも言ったけど、不思議となんとも思わなかったんだ。そうか、やっぱりそうなるんだな、ってだけ。大人も皆口を噤んで、拳を握るだけ。」


環は、周りが見えすぎる。

本当に俺と真逆だ。


「忘れられないんだ。そんな大人達に怒鳴って、環は死なない、死なせないって叫んだひおのこと。人が嫌いで、言葉も発さずに暴れ回ってたひおがさ、あの時初めて真っ直ぐに人を見て、凄い大きい声で」



「やめろ、思い出させんな」


あの時はどうしようもなかった。

俺が俺じゃなかったっつーか。

……後悔はしたことないけど、ただ、


「ヒーローみたいだったよ?」


恥ずかしさで体が燃えるみたいで。

……やめろ。





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