BeAST
訳わかんねえ……
「男なら分かるよ。だから、男に触られちゃダメだよ?学校で。すぐ分かるから」
「触られねえよキショい」
「そういうとこ。僕はいいんだーとか思っちゃうんだ」
「環はいいに決まってんだろ」
「ひおは優しい。僕に甘い。でも僕もう、ひおを女の子として見てるから、もう触らない」
寂しい。
凄く寂しい。
でもそれも、言っちゃダメなんだろ。
「やだ、とか言わないでね。それ言われたら、僕何するか分かんないから」
「てめえの心臓で何が出来んだよ」
「うん、そういう無遠慮なこと僕に言えるのもひおだけだな」
俺が環を見れば、二人でクスッと笑った。
「悪いけど、環が普通に生活できるようになるまではそばに居させてもらうからな。」
「うん」
「見舞いも、こうやって出かけんのも、他のやつには任せらんねえから。」
「うん」
「俺は、環のこと男として好きなわけじゃないから、環の気持ちには答えらんねえ。ヤりてえとか言われても無理」
「……それかなり傷付く」
環にも、前に進んで欲しいから。
「ただ俺は、環が笑ってる未来が欲しい。俺を救ってくれた人で、俺の誰よりも大切な人。環が居ない世界なら、俺は要らない」