BeAST





眉を八の字にして、俺を見る環。


「そんな環が、俺を好きになってくれた。それはすげえ嬉しい。ありがとう」


多分俺も、泣いて酷い顔だ。


腕を引かれて、また抱き締められる。


「あれ、触んねえんじゃなかったのか」


「無理」


「ワガママだな。まあ、俺はいいけど。でも、俺は環が辛いのは嫌だよ。これを最後にしよう」



最後のハグ。


腕の力が強まる。

ああ、そうか。

環はやっぱり男なんだなぁ。

力、強い。


今まで加減してくれてたんだな。



ありがとう、環。




____



「やっと来たか〜。って、君ら目腫れてんね」


「耀介、僕フラれちゃった」



その唐突な報告に、数秒固まる耀介。


「……そう。それで、そんな気まずい感じなさげに居られるもんなの」


「ひおって、その辺の回路、麻痺してるから」


「おい」


席に着いてメニューを見る。


「でも流石に、環相手じゃお前も泣くんだね」


「なんなら、ひおが泣きすぎててもらい泣きしちゃったんだよね」


「ホント、その素直さを他にも出してくれたらいいのに」


「ん〜それもやだなぁ」



本当に、この2人が揃うと


「お前ら、本当、似てるよな」


「「え?」」



無自覚かよ。



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