BeAST




____


「うおおおい!灯織!てめえ、サボりやがったな!?」


その叫びに目を覚ます。


んだよ、耀介居ねえのか?


「体調悪いんだよ」


「へっ?お前が!?」


「……喧嘩売るなら後で買ってやる」


「え"、いや、ちがっ」


馬鹿みてえに声がでかい男、井筒幸大(いづつこうだい)。


「井筒、本当に弓木具合悪そうだぞ。弓木、荷物持ってきた。歩けるか?」


静かに俺に問いかけるメガネの男、七種礼(さえぐされい)。


「ん、サンキュ」


少し、腰は軽くなったか。


毛布を取る前に、臀部を確認する。

ん、漏れてねえな。


ゆっくりベッドから降り、荷物を受け取る。



「大丈夫か?支えるか?」


七種が俺の肩に手を当てる。


……貧血気味だな。


「……悪い、お前ら先帰れ。耀介に送って貰う」


「あぁ、そうだな。相見先生呼んでくる」


「いや、ここで待ってりゃどうせ来る。……なんだ、あー、その……」



幸大と七種は入学当初からツルんでるやつ。

俺と一緒に居るとか、物好きなヤツらだが、悪いヤツらじゃない。



「はは、灯織弱ってんなぁ」


面白そうに笑う幸大。


「礼なんかいい。こういうのはお互い様だろ」



「礼だけに!つって!」



「井筒、アホさを露呈するな」



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