BeAST



「お前、何がしたいんだ」


橘が訳が分からないという顔で俺を見る。


「んー、人助け?」


「……お前が優しい奴なのは分かってるつもりだ。けど、この前のことと言い、理解に苦しむ。」


「まあ、今のところはそうだよな」



環も、そうだった。


俺の場合、荒療治っぽいけど。


「柿谷のことは、俺に任せてくれ」


つか、教材無事かな。

そう笑いながら立ち上がる。


幸い、教材は無事だった。



首の圧迫痕のようなものは残ってしまい、クラスのやつらに問いただされたけど何とか誤魔化した。


あの4人は聞いてこなかった。


まあ大体想像つくよな。


放課後、教室を出た瞬間に腕を掴まれ、屋上前の踊り場に連れてこられる。


そんなことすんの、皇しかいない。


両手を掴まれ、首筋に皇の顔が埋められる。


「い"っ、は、てめ」


す、吸われ、た


「これ、あいつだろ」


皇でさえ、察してる。


「何された」


圧のある目。


ああ、柿谷の目と違う。

熱い、目。


「挑発して、首締められただけ」


「だけ、だ?」


顔を近づけようとする皇。


「次は噛み切んぞ」


「好きにしろ」


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