BeAST



食われるみたいなキス。


何度も角度を変えて、口の中を舐め回したり、舌を吸ったり、俺の唇から零れそうな唾液を飲む。


わけ、わかんね。


「…んっあ」


その声に、ピタッと皇が止まる。

俺も驚いて止まる。


え。


え、待て。


今の声。






俺の声?




恥ずかしさで全身の体温が上がったのが分かる。

ジワジワと首から顔まで赤くなるのも。


まるで、今日の昼に柿谷といた女みたいな。

俺今、喘いだ?


「きっしょ」


思わず、俯きながら自分に言う。


ふっ、と俺の耳元に顔を近づける皇。


「可愛い」


熱を帯びた、声。

やばい、完璧スイッチ押した。


耳から首筋、また唇へ。


手の自由は奪われ、体が近すぎて蹴ることも出来ない。


そうだ、こいつこの前、勃って……


やばい、このままだと色々とやばい…っ


息できねえけど、しようとすると声が……

頭チカチカする。



片手が解放され、その手が俺のしりを撫でた時、チャンスだと思い片手で皇の胸を押すがビクともしない。


まじで…っ
危機だ


柿谷に殺されそうになる方がまだマシだ。



いや、貞操もだけどその前に、女だって物理的にバレる。



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