BeAST
「でもまあ、言いづらいよな。こういうのは」
「俺こんななのに、力ねえからさ。皇にも柿谷にも力じゃ勝てねえんだよな、はは」
泣いてしまった手前、今更カッコつけることも出来ない。
「それこそ、神尾さんとか相見先生が黙ってないんじゃないのか」
「言って、ねえ」
はあ?という顔をする七種。
「頼む、この事は誰にも言わないでくれ。」
「さっきの皇の言葉。お前が柿谷に関われば、またこうなるってことだろ。それ黙って見てろって言うのか」
参ったな。
「手」
「あ?」
「震えてる」
そう言われて自分の手を見る。
ホントだ。
震えてる。
「……俺って、繊細?」
なんてふざければ
「お前って、井筒より馬鹿なのかもな」
もう何も言えません。
なんか最近俺、怒られてばっかじゃねえ?
「いや、俺らがお前を過大評価し過ぎなのかもな」
ちょっと待ってろ。
そう言われて、その場で待つ。
カバンを持って待っていれば、屋上の施錠確認をしに来ていたらしく作業をして俺の腕を引く。
「すみません、友人が怪我をして。はい、すみません、保健室行ってそのまま、はい」