BeAST




体育でフリーの時間になり、サボる俺の隣に七種が座る。


「ん?珍しいな」


「皇除けに決まってんだろ」


「ああ」


「出来ればお前がサボらなければ、いつも通り真面目に授業出来るんだけどな」


チクチクと嫌味を言う七種。

いや、ド正論だけどな。


「なあ、いつから」


それは、聞いておきたかった。


「お前が、初めてトイレでぶっ倒れた時」


発作の時か。

そういや、あん時対応してくれたの七種だったな。


「苦しそうだったから、ベルト外したり、ワイシャツのボタン外したり。まあ、それまでも男にしては華奢だし、中身が男臭いのに違和感はあった。介抱してやろうと思ったけど、最終的に全部元に戻して背負って保健室まで連れてった」



その時の七種を想像したら、笑えてきて。


「あははっ、やべーおもしれえ」


「何も面白くないだろ。お前、見られて恥ずかしいとかないのか」


「興奮したか?」


「本当、中身男臭すぎるだろ」



ケラケラ笑っていれば、幸大が走ってくる。



「なんだよ!仲間はずれか!?」


「馬鹿が来た」


「ぁあ!?誰が馬鹿だ!」


「お前以外に誰がいる」


冷静沈着。

その言葉が似合う男。

それで居て、まだ16歳で幼さが残る。


「礼」


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