BeAST
柿谷を見ずに低く唸るように制止する。
「皇。俺が、お前の考えていること、毎回聞くのは何故だと思う。」
皇は、心を閉ざした顔から一気に、まさか、という顔をする。
「昨日ので大体理解したよ。お前は俺のことが好きとか、そんなんじゃない。お前は」
パシッ
口を手で覆われる。
皇に。
その手を、ゆっくり退かす。
「ほら、別問題だろ。分かったら大人しく座れ」
「…お前」
「何。まだなんかあんの。あ、言っとくが、どんな事情があるとしても、お前の悪行は許されるもんじゃねえし、俺は許してねえ」
睨んでから、ふっと笑ってシッシッと手で追い払う。
「ふう、待たせたな。機嫌直せって」
柿谷にニコッと笑ってみせる。
グンッと胸ぐらを掴まれる。
「おいおい、胸ぐら掴むの好きな?」
両手をポケットに突っ込む。
「お前、何もんだ。ふざけたこと、ベラベラ話やがって。」
静かに、喉奥から這いずり出たような声。
「はは、放置してたのがそんなに気に食わなかったか?」
「ヘラヘラしてんじゃねえ」
拳が降ってくる。
「殴って、壊して、最初から無かったことにする。いいご身分だな」
「灯織」
そうだよねー、素直に戻るわけがないよねー皇くん。
「本当、二人揃うと会話が進まねえな」
頭をガシガシとかく。
「柿谷、今日は皇がいるから構ってやれねえわ〜ごめんなぁ」