BeAST
ポンポンッと優しく撫でてやる。
あ、やべ、落ちる。意識……
視界に、他のやつの手が伸びる。
すると、俺は解放されて、ドサッと床に落とされる。
「カハッ、ケホッ」
「灯織!!!」
女子が俺に近寄ってくる。
「ちか、よんな……」
「で、でも、灯織がっ」
「ぶねえから、来んな」
ひゅ、ひゅ、とか細い呼吸。
少しずつ、肺に酸素が取り込まれる。
クラクラすんな。
よろける脚を殴って、どうにか立ち上がり、俺を助けたその手を掴む。
「礼は言わねえぞ……昨日の分な」
「……灯織」
俺を助けたのは紛れもなく皇だ。
皇じゃなきゃ、こいつは止めらんねえ。
「あー、頭回んねえ。お前は毎回、律儀に俺の挑発に乗ってくれてありがてえね」
首の後ろをポンポンと自分で叩きながら、頭を振る。
「まぁ、また構ってやるから待っててな。うちのクラスに来るのは勘弁なぁ。こいつが居ると話になんねえから」
「……お前、気持ちわりぃんだよ…何でここまでされて抵抗もしねえ、しかも何回も懲りねえで」
「あは、灯織ぃ、気持ち悪いって言われちゃってるよぉ?」
俺の隣に来て、腕を絡める与坂。
「流石にこれはなくねえ?」
ビクビクしながら俺によってくる幸大。昔の俺がこれに似てるって言うことが信じられないんだろう。