魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 瞳の色はペリドット。さわやかで明るい緑色だ。これも家族の濃いエメラルドグリーンと違い、色が薄すぎる。

「ほら、後は自分で整えてくださいね」

 メイドが乱暴な手つきで鏡を押し付けてくる。ざらついたタオルで顔を擦られた痛みもあり、顔をしかめながら受け取った。

 鏡の中に映った私は、控えめに言っても美少女だ。

 あどけない顔は五歳児らしく丸み帯びて、頬もぷっくりとやわらかい。

 ピンクの髪と緑の瞳のせいで、桜餅のようだと思ったのは言わないでおく。

 どうせこの世界の人に言ったって通じるはずがないのだ。

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