魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「父上も母上も、ふたり目の王子の誕生を喜べなかった。そりゃあ、いつか国をふたつにわかつかもしれない元凶だからな。だったら生むなという話なんだが、まあできたものは仕方がない。争いの種になるくらいなら殺してしまおうか、なんて話もあったらしい」

「そんなのひどいよ」

「僕もそう思う。勝手に生み落としておいて、迷惑だから死ねとは勝手が過ぎる」

 ふっとノインの眼差しが優しく緩んだ。

「一番古い記憶は、僕を覗き込むアベルのうれしそうな顔だ。……あいつだけが、僕の存在を許してくれた」

 懐かしそうな表情は、ノインがアベルに対して抱く想いの強さを表していた。

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