魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「お疲れ、お嬢さん」

 パセットさんが差し出してくれた布を受け取り、滲んだ汗を拭う。

「ありがとう。あんなに量があると大変だね」

「手伝いを申し出ればよかったですね。気が利かずすみません」

 そう言いながら、キールさんが木の器にブドウ酒を注いでくれた。

 この世界の飲酒は十五歳から解禁だ。だから私もありがたく頂戴する。

「狩りで疲れてるのに、処理まで手伝わせられないよ」

 ふたりは私が敬語を使うのを嫌がった。

アベルが彼らの主人であることを考えると、納得はできる。主人に対して敬語を使わない相手に、自分たちが敬語を使わせるわけにはいかないのだろう。

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