魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 軽く言うけれど、この人は自分の影響力をよくわかっている。

 ラスヘイムが平和でいられるのは、アベルの存在が大きい。

 魔法も剣も扱う彼は、本気になれば一軍どころか一国もたやすく落とせるという。

「城でおとなしくしていれば、敵も策を練りやすい。だったら予想のつかない行動をしているほうがいいと思わないか? 俺もそのほうが楽しいし」

「最後のが本音じゃなくて?」

「細かいことは気にするな」

 笑うアベルをよそに双子の騎士の反応を見る。

 主人の性格には慣れているのか、ふたりとも苦笑していた。

「お城での仕事をほかの人に頼めればよかったのにね」

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