魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「いいんだ。俺は完璧な王子でなければならないから」

 木の器を両手で握ったアベルが、視線を地面に向けて言う。

「そうすれば、ノインは自由な錬金術師でいられるだろう。だから俺は、あいつのためにも誰よりもこの国にふさわしい王子でいる」

 以前にも似た話をノインから聞いた。あの翌日、思っていた通りごまかされ、濁されたけれど。

「アベルヘルセ様は、ノイン様至上主義ですからね」

 パセットさんが自分の器にブドウ酒を注ぎ足しながら笑う。

 キールさんが『お前ばかり飲みすぎだ』と、途中でブドウ酒の瓶を奪った。

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