魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 今日までともに過ごす中で、ひとりだった彼の寂しさを癒やせているなら、それはとてもうれしいことだ。

 以前、ノインに頭を撫でられたのを思い出す。

 急に気恥ずかしくなって、ブドウ酒が残りわずかになった器を口もとに引き寄せた。

「私もアベルみたいな兄弟が欲しかったな」

「俺はもう、お前を妹のようなものだと思っている。呼びたいのなら、お兄ちゃんと呼んでくれてもいいぞ。なんだったら、遠慮なく飛び込んできてくれ。撫でてやろう」

 ほら、とアベルが私に向かって両手を広げる。

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