魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 素直じゃないノインは、こういう時に甘えられない。だから彼はいつも、アベルを邪険にするのだ。それがノインなりの甘えだと、アベルはとっくに知っている気がする。

「私がアベルに撫でてもらったって言ったら、ノインに怒られそうだよ」

「それはそれでおもしろいんじゃないか? あいつが俺に撫でてくれとねだってくるかもしれない。賭けるか」

「お、賭けですか? のりますのります」

「パセット、本気にするんじゃない」

 賑やかなひと時に温かな気持ちが芽生える。

 こんな兄弟がいたら、私の人生は変わっていたんだろうな。前世でなにもかも奪われずに済んだだろうし、今世だって仲良くなれたのかも。

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